上山市の水道の仕組み・どうやって水道水は届くの? 知られざる長い道のりとは
上山市の水道普及率は99.9%、約3万人・約1万1千戸に対して水道水が供給されています。
本市の水道事業は、1917年4月に計画給水人口1万人・計画一日最大給水量1,113㎥として始まりました。
どの様にして各家庭まで水が届くのか、また山形県の水道料金は全国的に見ると高い傾向にありますが一体なぜか、その仕組みについてご紹介します。
どこから来る水なの?
上山市の水道水は、50km離れた「寒河江ダム」から供給されています。
寒河江ダムは西川町に位置する、堤高112m・有効貯水容量98,000,000㎥のロックフィルダムです。一級河川 最上川水系に所属し、利水や発電のために1990年から国土交通省東北地方整備局が運用しています。
広域水道ってなに?
寒河江ダムから供給された水は、上山市を含む、山形市・寒河江市・村山市・天童市・東根市・山辺町・中山町・河北町・西川町・朝日町・大江町の6市6町で水道水として利用されています。この様に、大きな水源を広い範囲(複数の市町村)へ給水するものを「広域水道」と呼びます。
山形県では、村山・最上・置賜・庄内の4つの地域で広域水道の事業が行われています。上山市は「村山広域水道用水供給事業」に含まれ、この事業は約50万人が利用出来る水道を目的として総事業費679億円をかけて、1984年7月に一部地域での給水開始、1991年4月から本格的に給水が開始されました。
なお、水道法により水道を供給する水道事業は原則として市町村が実施することになっているため、水道利用者は市町村に対して水道料金を支払い、広域水道の建設や運用に係る費用は、市町村が水道用水供給事業を展開する山形県企業局に対して支払いを行っています。
ダムから各市町村へ
寒河江ダムから取水された水は、「西川浄水場」で水道水として利用出来る基準を満たすまでろ過や薬剤により消毒され、総距離113kmの水道管と、水管橋24か所、増圧ポンプ4か所によりそれぞれの地域まで水道水が供給されています。
手元に届くまで
西川浄水場から上山市の各家庭まで水道水が届く道のりを紹介します。
上山市における水道事業は総距離279kmの水道管と、次の施設から構成されています。
- 県水受水(広域水道) 1か所
- 自己水源 1か所
- 浄水場 1か所
- 送水ポンプ場 6か所
- 配水池 13か所
- 加圧ポンプ場 4か所
50km先から繋がる広域水道の水道管は、まず上山市の大石という高台にある「大石配水池」へと接続されています。ここには、幅約20m・高さ約10mの大きな水タンクと二次滅菌処理施設が設置され、この水タンクが上山市内のほとんどの水道水を担っています。
大石配水池の滅菌処理施設では、各配水池へ送水される前に水道法の基準値である遊離残留塩素濃度0.1mg/L以上を満たすために、次亜塩素酸ナトリウムを注入しています。
効率的に水道水を届ける仕組み
上山市では、5つの配水区域に分けて水道水を供給しています。なお、小倉については広域水道に頼らない自己水源(小倉浄水場配水系)を利用し、その他の萱平や蔵王など一部地域では小規模水道区域を設けて水道水を供給しています。
- 上山系
- 河崎系
- 三上系
- 呑岡山系
- 大石高区系
広域水道が繋がる大石配水池からそれぞれの配水区域に設けられた配水池へと水道水が供給され、配水池から直接または加圧ポンプ場を経由して住宅などに水道水が届けられています。
大石高区系
広域水道が繋がる大石配水池からすぐの所にある「大石高区配水池」では、大石高区系に該当する大石や久保手など向けに水道水を供給しています。
大石高区配水池から直接供給される水道水や、水道法で定められている0.15Mpa~0.74Mpaという水圧を満たさない場所については、「大石高区加圧ポンプ場」で加圧された後に供給されています。
水道法で定められている水圧を満たさない場所とは、配水池から距離がある所や配水池との標高差が小さい所、特に水道水の需要が高い所などが挙げられます。
上山系
大石配水池から南西に1.2km、西山ふるさと公園の南東にある「上山配水池」では、上山系に該当する金生や十日町など、かみのやま温泉駅周辺の広い範囲を対象に水道水を供給しています。
上山配水池から直接供給される水道水のほか、「仙石加圧ポンプ場」で加圧された後に仙石の高台にある「仙石配水池」へと送水されそこから各住宅への供給、また上山配水池から「三吉山加圧ポンプ場」を経由して供給される水道管も設けられています。
河崎系
大石配水池から南西に3kmの場所にある「河崎配水池」では、河崎系に該当する市役所周辺の河崎や葉山、少し離れた中山に対しても水道水を供給しています。
河崎配水池から直接供給される水道水はもちろん、「川口送水ポンプ場」を経由して「中山配水池」から中山の住宅にも供給を行っています。
三上系
大石配水池から南に8km、フルーツライン沿いにある「三上配水池」では、三上系に該当する小穴や関根、阿弥陀地などを対象に水道水を供給しています。
三上送水ポンプ場を経由して大石配水池に送水された後に水道水が供給されています。
呑岡山系
大石配水池から南東に6km、呑岡山の麓に位置する「呑岡山配水池」では、宮川中学校の近くにある「京塚送水ポンプ場」から送水された水道水を呑岡山系に該当する生居や楢下、大門や中川地区の高野などに対しても供給を行っています。
呑岡山配水池からは、久保川や大門に水道水の供給を行う「菖蒲配水池」、永野や高野に水道水の供給を行う「堀切配水池」の2か所の配水池に対しても送水を行っています。菖蒲配水池は「大門加圧ポンプ場」を経由して、堀切配水池は「生居加圧ポンプ場」を経由する水道管が設置されています。
小倉浄水場配水系
先程も挙げた通り、小倉周辺は広域水道に頼らない、自己水源を採用しています。
小倉の湧水を「小倉浄水場」でろ過や滅菌処理し、小倉浄水場配水系に該当する小倉や権現堂に対して水道水を供給しています。
今後の上山市における水道事業
現在、上山市の水道施設における処理能力は1日あたり11,851㎥ですが、施設利用率で表すと63%と、整備当時の人口と今の人口の差があるため37%が余分な施設という形になっています。
また、主要施設は1970年代に建設され、老朽化が進み耐震構造も不十分な部分があります。そのため、今後の施設更新に伴い、施設の規模縮小やより効率的な配水池への転換などを検討しているようです。水道料金の高騰は、施設の老朽化や水源の確保、人口減少などが大きな要因となっています。
詳しくは、「上山市水道ビジョン」をご覧下さい。
www.kaminoyamasaigube.com/motto-kaminoyama/
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